塀は、敷地の所有者が自己所有の工作物として敷地内に自由に設置していますが、既存の塀の中には、両方の土地に跨るように境界線上に設置されたものも存在します。
こうした既存の塀は、隣接する土地の境界線を示す機能を重視して境界線上に設置し、塀の構造も板塀または竹垣その他の類似のものが多く、設置費用の負担も協議のうえで行い、共有物とされる塀が多かったと思います。
しかし、その後、塀の改修や撤去を契機に、塀の構造を恒久性の高いものに変更し、次第に、各自の工作物として各敷地内に設置することが多くなりました。
したがって、境界線上に設置された塀の場合には、隣地所有者との間で、当初の塀の設置経緯及び設置費用の負担の有無を確認し合い、当該塀の設置構造(塀の支えなどの位置)等から塀の管理及び利用が誰によりどの様にされてきたかを判断しながら塀の所有者を調査確定する必要があります。
調査によっても所有者が判明しない場合には、境界線上に設置された塀は隣地との共有とされますので、塀は隣地所有者との共有物という前提で、塀の撤去を隣地所有者と協議する必要があるでしょう。
2021年11月21日